ごあいさつ
仁明会精神医学研究(Jinmeikai Journal of Psychiatry)は、一般財団法人仁明会精神衛生研究所が刊行する精神科領域の学術雑誌です。これまで毎年9月と3月に2000部を印刷し、全国の精神医学教室、精神科病院、精神科クリニックなどに郵送配布しておりましたが、2021年9月の第19巻1号を以て紙媒体からオンライン媒体に移行することになりました。
精神衛生研究所は兵庫医科大学を設立された故森村茂樹先生により、1955年、精神衛生に関する科学的研究を行うとともに薬物(覚醒剤、ヒロポンなど)やアルコール中毒者の社会復帰を支援し社会福祉の増進に寄与するために設立されました。その後1971年に武庫川病院を設立母体として兵庫医科大学が開設されました。武庫川病院が運営していた財団法人仁明会赤い羽療園は1989年に甲山に移転し、新たに仁明会病院として精神科医療を担うことになりました。
22年間兵庫医大精神科教授をお勤めになった三好功峰先生は京都大学精神科教授にご就任され定年退官されましたが、2002年に精神衛生研究所長に就任され、2004年に三好功峰先生を編集長として仁明会精神医学研究第1巻が刊行されました。第1巻から第15巻までは仁明会病院と精神衛生研究所があった甲山の写真を表紙としたB5判の70-90頁の学術誌として定期刊行され数多くの格調高い論考が掲載されていました。2010年に西宮市越水町に仁明会地域精神医療センターが開設された時、精神衛生研究所は外来部門、デイケア、訪問看護部門などと共に越水町に移動し、仁明会精神医学研究も引き続き年1回の刊行を続けてきました。
2018年、三好功峰先生のご勇退により、小生が精神衛生研究所長と「仁明会精神医学研究」第16巻以降の編集長を引き継ぐことになりました。当初は精神衛生研究所の年報として刊行され始めた本誌は、三好功峰先生のご尽力により全国に多くの読者から高い評価を受けるまでになっておりましたが、編集長をお引き受けして判型をA4判とし、毎号の表紙写真を森村理事長に依頼し、全国の高名な精神科医に特別寄稿をお願いして年間2号の発行とページ数も大幅に増加しました。
このような「仁明会精神医学研究」の変化は、幸いにも広く精神科医や精神科医療に関心を持つ方々に受け入れられ、多くの読者から好意的な費用化を頂戴する機会も多くなってきました。今回、本誌を心待ちにしていただいている方々に、できるだけ早くお届けできるように紙媒体からオンラインで配信することにいたしました。これを機会に読者との双方向の意見交換がより円滑になされるのではないかと期待しています。オンライン化を機会に紙媒体をお届けする施設は少なくなりますが、ご希望の方には今まで通り無料での冊子体の配布を続けますので、お知らせください。
2021年10月
仁明会精神医学研究編集長 武田 雅俊